「プログラミングできないから」を言い訳にできなくなってきた
「毎週同じメールを手で送っている」「スプレッドシートの集計を月末に手作業でやっている」。こういう地味な作業、放置している会社は多いと思います。
以前であれば、こうした自動化にはGoogle Apps Script(通称GAS)というプログラムの知識が必要でした。GASはGoogleが提供する無料の仕組みで、スプレッドシートやGmail、カレンダーなどを自動で動かせます。ただし自分でコードを書く必要があり、ここで挫折する方がほとんどでした。
ところが最近は、ChatGPTやGeminiのような生成AIに「こういう動きをするプログラムを書いて」と日本語で頼むだけで、GASのコードをAIが書いてくれるようになっています。コピーして貼り付けるだけなら、プログラミング未経験の方でも手が届く範囲になってきました。
この記事では、実際にどんな手順で試せるのか、どこでつまずきやすいのかを具体的に紹介します。
まず知っておきたい「AIエージェント連携」の中身
ニュースなどで「AIエージェント」「MCP」といった言葉を見かけることが増えました。中身を知らないと身構えてしまいますが、難しい話ではありません。
- AIエージェント連携:AIが単に文章を返すだけでなく、実際にファイルを作ったり、メールを送ったりと「作業そのもの」を代わりにやってくれる仕組みのことです。
- MCP(Model Context Protocol):AIが外部のサービス(スプレッドシートやカレンダーなど)とやり取りするための「共通の窓口」のようなものです。今まではサービスごとに個別の接続方法が必要でしたが、MCPがあることで色々なサービスにAIがつながりやすくなっています。
今回紹介する「GAS×生成AI」は、この流れの一番身近な入り口です。AIに直接システムを操作させるのではなく、「AIにコードを書いてもらい、人間がGASに貼り付けて動かす」という、まだ人の手が間に入る段階のやり方です。ここから慣れていくのがおすすめです。
手順①:毎週のメール送信を自動化してみる
一番試しやすいのは、定型的なメール送信です。例えば「毎週月曜の朝9時に、決まったメンバーへ週次報告の提出リマインドを送る」というケースで考えてみます。
- Googleスプレッドシートを開き、メニューの「拡張機能」→「Apps Script」をクリックする
- 生成AI(Geminiなど)に、次のように日本語で依頼する
「Googleスプレッドシートから、毎週月曜の朝9時に、指定したメールアドレス3件へ『週次報告をお願いします』という内容のメールを自動送信するGASのコードを書いてください。送信先はA列に入力されているとします。」
- AIが返してくれたコードを、Apps Scriptの画面にそのまま貼り付ける
- 「トリガー」という設定画面で「毎週月曜9時に実行」と指定する
- 一度テスト実行し、実際に自分宛にメールが届くか確認する
ポイントは、最初から完璧を求めないことです。まずは自分一人にテスト送信してみて、問題なければ対象を広げる、という進め方が安全です。
手順②:スプレッドシートの集計を自動化してみる
次に試しやすいのが、日々の売上やシフト希望などをまとめる集計作業です。
「スプレッドシートのA列に日付、B列に売上金額が入っています。月ごとの合計を別シートに自動で出すGASのコードを書いてください。」
このように頼むと、AIは関数ではなくプログラムとして集計処理を組んでくれます。関数だけでは対応しづらい「条件が複雑な集計」「複数シートをまたぐ処理」も、日本語で条件を伝えれば形にしてもらえることが多いです。
ただし、ここで一つ注意点があります。AIが書いたコードは、見た目が動きそうでも、実際の業務データとズレている場合があります。特に以下は毎回チェックしてください。
| チェック項目 | 確認する理由 |
| 対象の行・列が実際のデータと合っているか | AIは例として想像した配置で書くことがある |
| 空白行やエラー値が入っていてもエラーにならないか | 実データには欠損がつきもの |
| 社外に送られるデータが含まれていないか | メール送信・外部連携系は特に注意 |
「動いたからOK」ではなく、一度は数字を手計算と突き合わせて確認する。この一手間を惜しまないことが、自動化を事故なく続けるコツです。
どこまで自力でできて、どこから大変になるか
ここまでの内容は、プログラミング未経験でも土日に試せるレベルです。実際、簡単なメール送信やシンプルな集計であれば、多くの会社が自力で形にできると思います。
一方で、次のような場面になると急に難易度が上がります。
- 複数の部署・複数のスプレッドシートをまたいで処理したい
- 承認フローのように、人の判断を挟みながら処理を進めたい
- 作ったあと、担当者が異動・退職しても誰かがメンテナンスできる状態にしたい
こうなると「AIに書いてもらったコードを部分的に直す」スキルが必要になり、専門知識がない方には荷が重くなってきます。実際、弊社にもGASやノーコードで自作してみたものの、途中で止まってしまったというご相談をいただくことがあります。
まとめ:まずは小さく試して、続けるかを決める
GASと生成AIの組み合わせは、プログラミング未経験の方でも「毎週のメール送信」「簡単な集計」くらいであれば十分に自力で試せる段階に来ています。まずはご自身の業務の中で一番地味で面倒な作業を一つ選び、日本語でAIに頼んでみることをおすすめします。
ただ、業務が複雑になるほど、コードの保守や、担当者が変わった時の引き継ぎが課題になります。そこを自社だけで抱え込むのが大変だと感じたら、外部に任せるという選択肢もあります。C3Worksでは、御社の業務や慣例に合わせた自社専用の社内システムを月5万円から(サーバー代・保守込み)で作り、保守まで引き受けています。シフト管理や日報、申請ワークフローなど、小さく始めて育てていくシステムです。自力でどこまでやるか、どこから任せるか。その線引きの参考にしていただければ幸いです。